携帯電話のSAR値を知ろう


SAR(Specific Absorption Rate)とは、単位質量の組織に単位時間に吸収されるエネルギー量のことで、人体がある電波を発する機器から、一定時間にどのくらいのエネルギーを受けたのかがわかります。
平成9年に人体に許容される電磁波の基準として「全身平均SAR」と「局所SAR」のふたつの基準値が定められました。
単位はW/kgでキログラム(kg)あたり何ワット(W)の熱エネルギーを吸収するかという単位であらわします。
値が大きいほど人体への影響が大きいということになります。
携帯電話等、人体頭部のそばで使用する無線機器から送出される電磁波については局所SARを用います。

局所SARとは?

局所SARとは、人体が電磁波にさらされることによって、任意の10g当たりの組織に6分間に吸収されるエネルギー量の平均値を言います。 この値は携帯電話の機種により違います。

局所SARの許容値は?

平成9年の郵政省電気通信技術審議会が答申した電波防護指針に基づき、電波産業会は 平成11年に局所SARに関する民間規格を定めました。
平成14年6月からは総務省令(無線設備規則)によって、人体側頭部のそばで使用する携帯電話端末等に対して、電波防護指針に基づく局所SARの許容値(2W/kg)を満たすことが義務づけられました。
電波産業会では、この許容値は、世界保健機関(WHO)や国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が策定した国際的なガイドラインと同等の値でこの値を超えたとしても人体に影響を及ぼすものではないとしています。

携帯電話に適用される防護規格
無線設備規則第14条の2(局所吸収指針:平成9年電技審答申)
周波数 100KHz~3GHz
平均時間 6分間
全身平均SAR 0.08W/kg
任意の組織10gあたりの局所SAR 2W/kg
4W/kg(四肢)

局所SARの測定方法は?

局所SARは財団法人テレコムエンジニアリングセンター(TELEC)という団体が計測した測定値です。
松戸にあるTELECの試験所では、人と同じ形、同じ水分を持った「ファントム」という模型と、携帯電話の測定用スタンド、それにSAR電界プローブから構成されるSAR測定システムが用意されており、出力を最大にした携帯電話の実機を使用してSAR値を計測しています。 この測定方法は、欧米諸国も採用している国際標準の測定方法と同じです。
ただし、実際に私たちが携帯電話を使用しても、発表された数値通りの電磁波エネルギーを受けてしまうわけではありません。
PDC方式にしてもCDMA方式にしても、実験では最大出力という特定の条件下で測定しているからです。
たとえば、CDMA方式を採用しているCDMA2000などでは通信状況により出力を非常に細かく制御していますし、また、携帯電話のアンテナを伸ばすだけでSAR値は数分の1になるという報告もあるそうです。
電磁波有害説派の中にはTELECの理事長へは、元郵政省放送行政局長が天下りしているので数字が正確かどうかも疑わしいという意見もあるようですが、そこまで疑ってしまうとデータの意味が無くなってしまうので、ここではTELECの測定値を信じることとします。
しかしながら平均SAR値だけではなく最大SAR値も公表するよう求める声もあるようです。

各国のSAR基準値について

1997年より、すでにヨーロッパでは携帯電話の局所SAR値をメーカーが公表することを義務づけています。そして、テレビの報道番組がメーカー名、製品名とともに局所SAR値を公表したところ、最も局所SAR値が小さい携帯電話が爆発的に売れたそうです。
下の表は各国のSARの許容値です。日本の許容値が高いのが目に付きます。国際的なガイドラインと同じ値で問題ないとのことですが、我々ケータイユーザーからすると、より厳しい基準にして欲しいと要求するのは当然ですね。
電磁波問題に敏感なアメリカは人体組織1gあたり1.6W/kgと厳しい基準を採用しています。日本で基準値クリアの携帯電話もアメリカでは基準を超えるケースもあるのではないでしょうか。

国別 許容値 測定単位 組織名等
 日本  2.0W/kg  10gあたり  総務省令・無線設備規則
 アメリカ  1.6W/kg  1gあたり  連邦通信委員会(FCC)
 スウェーデン  0.8W/kg  10gあたり  労働組合連合(TCO)
 中国  1.0W/Kg  10gあたり  検討中
 ドイツ  0.6W/Kg  10gあたり  検討中

携帯電話機種別SAR値一覧表

iPhone機種別SAR値一覧表

NTTドコモ機種別SAR値一覧表

au機種別SAR値一覧表

ソフトバンク機種別SAR値一覧表

参考資料1:局所SAR値の悪影響研究リスト

参考資料2:東京都立大によるSARシミュレーション

2000年5月に発表されたイギリスのスチュアート報告では消費者に選択の自由を与えるため、SAR値を取扱説明書や携帯電話のパッケージに明記するよう指導しているそうですが、日本の携帯電話事業者のホームページでSAR値を比較しようと思っても、出来ることならそっとしておいてくれと言わんばかりの見にくさです。 一覧にするにも非常に時間がかかってしまいました。

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